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2019.09.01 Sunday

トムとジェリーとオーケストラ

 不朽のアニメーション映画「トムとジェリー」を、生のオーケストラやジャズバンドの演奏と、時おり大スクリーン上にトムジェリの実際の映像を映しながら楽しむという、とてもレアなコンサートに行ってきた。
 「トムとジェリー(Tom and Jerry)」は、アメリカのメトロ・ゴールドウィン・メイヤー (MGM) に所属していたウィリアム・ハンナ (William Hanna 1910-2001) とジョセフ・バーベラ (Joseph Barbera 1911-2006) により作られた短編アニメーションで、2020年で誕生80年となる。これに先立ち、今年は東京と大阪でトムジェリ展が開催されたり、渋谷では音楽劇も上演される。
 来ている人の年齢層もかなり幅広かった。トムジェリも昔のと最近のとでは絵柄も雰囲気も異なっているが、これほど多くの年代の人が見ているアニメって実はそんなに多くはないだろう。
 音楽と、あの緻密なアニメーションの動きをシンクロさせる。しかもオーケストラで!難易度高っ。
たとえアニメの内容を全て憶えていたとしても、音楽そのものは先が見えない曲が多いので暗譜も難しそうだ。ストーリーに合わせたBGMではなく、動物や人間の動作に合わせた曲が大半なのだから。
 やはり、アニメを見て曲を合わせていたらどうしても遅れてしまうので、少し早めに弾くくらいの勢いで合わせないとダメらしい。
 ひとりで演奏するならまだしも、全員で…となると、これはかなりの難易度だろう。
 80年も前にどうやってこのアニメ映画を作ったのか、長年不思議に思っていたが、何か特別な裏技や機械があったわけでもなく、やはり製作に携わった人たちが天才だったとしか言いようがない。

 ナビゲーターは、いま人気の声優さん、駒田航氏。劇中のナレーションだけでなく、ブルおじさんの声も担当するなど、さすが声優さん。
 解説者の上水樽力氏は、東京芸大でトムジェリ音楽を研究し博士号まで取ってしまったという。なぜトムジェリにクラシック曲が多用されているのかというと、クラシック音楽のようにトムジェリも名作として後世にずっと残ってほしいという願いが込められているそうだ。作曲家スコット・ブラッドリー(Scott Bradley 1891-1977)がいかに天才であるかを語っておられたが、スコット氏は作曲もオーケストレーションもど独学で身につけたというから驚きだ。
 指揮者の竹本泰蔵氏と東京交響楽団、ジャズドラマー黒田和良氏率いるジャズバンドの演奏、ともに圧巻だった。いったいどうやって練習していたのだろう。練習風景を見てみたかった。
ジャズの方は、とにかく休みなくずーっとドラムをたたき続けなければならないそうだ。(一回のライヴでどのくらいのカロリーを消費するのだろう…笑。)
 CHIAKi氏のピアノもパワフルかつコミカルで素晴らしかった。これぞ、人を元気にする演奏。各種キッチン用品や空気でっぽうのような物を使って、劇中の効果音も担当していた。
 ピアノの譜面台の横にも映像を映すモニターらしきものが見えたが、楽譜と手元とモニターを見て合わせるなんて目が回りそう。楽譜の方は暗譜だったのかもしれないが。

 ヨハン・シュトラウス「こうもり」序曲はハープは降り番の曲だが、トムジェリではこの曲の途中で効果音としてハープのグリサンドが入るので、今回もしっかり乗り番となっていた。
 他にも、ニューイヤーコンサートでおなじみの「美しき青きドナウ」といったワルツが演奏され、ハープも舞台下手ではなく、上手に近い、コントラバスの前方あたりに置かれていた。後半は全降りだったらしく、休憩時間にステマネらしき人が一人で担いで袖に運んでおられた。
トムとジェリーとオーケストラ
プログラムは下記のとおり。
・「ただいまお昼寝中(Quiet Please!)」1945
・「ワルツの王様(Johann Mouse)」1953
・「星空の音楽会(Tom and Jerry in the Hollywood Bowl)」1950
・特別コーナー:大解剖「トムとジェリーの音楽」
・「土曜の夜は(Saturday Evening Puss)」1950
・「ネズミとり必勝法(Mouse Trouble)」1944
・「ピアノ・コンサート(The Cat Concerto)」1947

21:00 | le concert | - | - | |
2019.08.31 Saturday

The sleeping Beauty〜Ballet in Three Acts with a Prologue Op.66

The sleeping Beauty〜Ballet in Three Acts with a Prologue Op.66
ハープの出番がある曲のみ、覚え書き。

・Introduction
弦の静かな6連符をよーく聴きながら、とても素早くアルペジオを入れていくのがスリリング。
Cのペダルを♭にして、Bの音を一部C♭に置き換えても良さそうだと当初は思ったものの、魔物が住むと云われる本番での冒険はやめることにした。

Prologue
・2. Scène dansante
 ヨハン・シュトラウスのワルツにありがちなアルペジオ伴奏。ペダルチェンジがまあまあ多いので気が抜けない。

・3. Pas de six
 チャイコフスキーらしいアルペジオが続き、最後はグリサンド。
・ VI. La Fée des lilas
 ソだけ。

・4.Finale
 冒頭、3分近く待ってから和音が続く。89〜91小節目のペダルチェンジが忙しい。この部分はオケによってテンポにばらつきがあるようだ。
 232小節目で雰囲気が変わり、グリサンドが5つ続く。1つ目はf、2つ目はp、3つ目と4つ目はpからmfへのcrescendo、5つ目はmfからのcrescendoというのを弾き分ける。ペダルを間違えないようにしなければ。
 270小節目以降のアルペジオは、たった2小節でpからfffにまでcrescendoする。

Acte
・8. Pas d'action- I. Adagio
 ハープのどソロ。今回はペダルをD♮C♮B♭E♯F♮G♯A♭にして、15-16小節目はグリサンドにした。
 その場合、19小節目に入る前に油断してペダルをE♭G♮にするのを忘れるとトンデモナイことになってしまう 笑。
 29小節目までは目立って弾きっぱなしだが、それ以降は出番なし。

・III. Variation d'Aurore
 グリサンド14小節。216小節目以降、チューニングが狂っているとVnソロとの対比でとても目立ってしまうので、当該ラシドレの4つの音は本番直前まで注意してチューニングしておいた方が無難。
・9. Scène finale
 116-117小節目の和音が意外と難しい。テンポがやや掴みづらく、音の数が多いので、つい全ての音を完璧に弾くことに一生懸命になってしまいがち。テンポが速い場合は余計に難しく感じる。
 なので、安全策としてペダルをC♭F♭にしてみたこともあるが、やはり今回の本番ではやめておいた。
 この辺りは組曲版と同じなんだけどなあ。
 ラストのハーモニクスでActe気締めくくられる。鳴らなかった時の落胆は半端ない。

  Acte II
・14. Scène
 アルペジオ、和音、アルペジオ、和音…。

・15. Pas d'action (Scène d'Aurore et de Désiré)
 和音が5つ。

・Coda
 ハーモニックスが7つと、ラストに和音が1つ。

・17. Panorama
 この作品中、3大ハープ目立ち曲の1つだと思われる。ひたすらアルペジオ。ペダルチェンジがないのが救い。pかmfしか登場しないが、オケハープのpはmfと言うので、ひたすら気合で弾いた。

・19. Entracte symphonique (Le Sommeil) et scène
 静寂の中でアルペジオと和音を入れるのだけど、曲の雰囲気的に必要以上に緊張してしまう。音も何となく弾きづらい。
 18小節目のラが♮に見えたので直前まで勘違いしてしまっていたが、実際はラは♭だったりする事に、リハ前日に気付いた。
 37-38小節目に入るときにとても静かに3つのペダルを急いで変えなければならないなど、薄氷を踏むような曲。
41-42小節目に、9の曲の116-117小節目と似た音形が入っているので、安全策としてペダルをB♯E♯にして弾くことも考えたが、今回はテンポもゆったりしていたのでやめておいた。
 141小節目に和音をバン!と弾いた後、銅鑼が鳴ったら、それはハープの出番の終わりの合図となる。

以降、やや長めの降り番となる。

 8. Pas d'action- I. Adagio、Lyra musicのオーケストラスタディにはWalter-Kuhneによる別バージョンの、結構長いCadenzaも掲載されている。これはEkaterina Walter-Kühne(1870-1930)の事だろうか?
 どこかでこれと似たCadenzaを聴いたので、もしYoutubeであればここで紹介したい。
 このオーケストラスタディ、くるみ割り人形の第14景Pas de deuxのハープ1台バージョンも紹介されている。これは弾いてみるとちょっと目が回りそうだ。花のワルツのA.Zabel版Cadenzaもあり、Cadenza10小節目までは従来型と同じだが、11-17小節目が和音になっている。これは実演を聴いたことがない。次の本番でいきなりこれを弾いたら、聴いている人は驚くだろうな。おそらく標準版で弾くと思うけど。

2019.08.28 Wednesday

練習時間

 「悲報...『努力は才能に勝る』は嘘だった」という記事を見た。
 オハイオ州にある、Case Western Reserve University の Brooke Macnamara 准教授と Megha Maitra氏が調査、英国王立協会のオンライン科学誌ロイヤル・ソサエティ・オープン・サイエンスに掲載されている。
  URL https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.190327
 1993年、ヴァイオリニストの練習時間と実力との関係を研究した心理学者・Ericsson氏らの研究で、一流のヴァイオリニストは20歳までに平均1万時間の練習を積み重ねていた事から、人は持って生まれた才能よりも1万時間の練習により何かに秀でることができるということが結論づけられ、のちに様々な分野で話題となった「一万時間の法則」にもつながった。
 ところが、今回、26年の時を経て Macnamara氏によって再現された研究では、練習に費やした時間が実力の違いに占めた割合は4分の1程度であり、1993年の調査方法にはバイアスを含む誤りがあったということになった。
 これに対し、Ericsson氏らは反論しているようであるが、要するに練習時間が全てなのではなく、遺伝、環境的な要因、練習の質、周囲のサポートなどの全てが重要なのだという。

 練習時間を長くすればするほど精度も上がって、本番でミスする確率も減る…と思って結構頑張ったものの、報われない結果に終わったことが過去に何度かあった。これはハープに限らず、ピアノでも同じだった。そして、同じ経験をした人も周囲にいて、その話題でかなり盛り上がった。私とその人の共通点は、自宅などある程度決まった場所で練習していたこと、自宅では完璧に弾けるのに、ちょっと場所を変えると嘘のように弾けなくなってしまう、という点だった。
 個人的な感覚だが、同じ場所で同じ曲をずっと弾き続けていると、脳で弾いているというよりは脊髄反射で弾いているような、楽譜を見なくてもなぜ弾けているのかもよく分からないけど弾けている、という、ちょっと得した気分。ところが、弾く場所を変えると突如、楽譜も頭に浮かばなくなり、身体も思うように動かない、という悲惨なことに。逆に、大して練習できなかった時の方が本番で集中できてうまくいった、などという"まぐれ"を経験したこともある。
 現実問題として、ピアノもハープもあちこち簡単に持ち運べる代物ではないので、練習場所をころころ変えるのは難しい。なので、同じ場所で2時間ぶっ通しで練習するよりも、30分ずつの4回に分けた方が良いような気もしてくる。易しい曲か難曲かによる違いもありそう。そのあたりの研究がもしあるのであれば、大いに知りたいところである。

22:00 | scientifique | - | - | |
2019.08.03 Saturday

C弦の悪夢

 チャイコフスキー「眠りの森の美女」全曲版(の抜粋)の本番が終わった。
 いつもの備忘録として、曲目ごとのハープパートの特徴をここに書いていたはずなのだが、なぜか消えてしまっているではないか。
 おそらく、寝ぼけてうっかり記事ごと削除してしまったのだと思われる。
 思い出しながら、ゆっくり書いていきたい。
 猛暑の中、しかも多忙な中、聴きに来てくれた方の存在が嬉しかった。

***
 この曲の組曲版の方は、昔々、まだオケの経験もまだ浅い時期に弾きに行く機会があった。ハープのソロも多いので非常に緊張したのを覚えている。が、それ以上に示唆に富む出来事があった。
 当時、楽器は業者さんからレンタルしていたのだが、ステージに置いてあった楽器の弦は一本切れていた。しかも、それはドの赤い弦で、なぜかその弦のみ、替えの弦も用意されていなかった。誰かの力を借りられる状況でもなく、リハ開始時刻も迫っていたので、仕方なく別の弦を張って、赤い油性ペンで着色した。
 すぐに初めてのリハが始まり、緊張の中、真冬にも関わらず汗が流れてきた。べた付いた指先に赤いインクが移り、それが別の弦にも移り、やがてたくさんの弦が赤くなり始めた。もう生きた心地がしなかった。いったいどれがドの弦なんだ!?
 頭の中が"?"と"冷や汗"でいっぱいだったことだけは覚えているが、どの程度弾けていたのかは記憶にない。悪夢のような出来事だった。
 事情はどうあれ、楽器の管理は奏者の責任になる。弦が47本あるので、切れる可能性も47本分。でも、ある1本の弦がない状態で弾くことによるリスクは、必ずしも47分の1にはならない。曲中、全く使わない弦もあれば、その弦の音が出ないと曲が成立しないということもあり得る。でも、切れる弦というのはやはり頻繁に使用する弦だったりする。きっと、件のハープは前に借りていた方が弾いた曲ではド音が頻出だったのであろう。そして、おそらく当該楽器を私に貸し出す前からドの弦が切れており、それを替えようと思ってドの弦だけどこかに置き去りにしたままステージに置かれていたのだろうと思われる。

2019.08.01 Thursday

151年前の手紙

 ケンブリッジ大学のアーカイブに、私の祖先が書いた手紙が1通だけ所蔵されている事を知ったのは5年以上前だった。
 神戸から香港に向けて書かれたビジネスレターで、原書は閲覧不可。マイクロフィルムに収められているという。
 写しを入手したいと願いつつ、渡英できないまま時は過ぎた。オンラインで入手できると知ったのは、ちょうど1週間前。
 アーカイブ担当者からのメールによると、資料を注文後、見積金額の連絡が届くまでに10営業日程度、その後手元に届くまで30日程度を要する旨が記載されていたが、結局、問い合わせから1週間もかからずに受領できた。
 対応が迅速かつ無駄がなく、一連の流れが鮮やか過ぎて眩しいくらいだった。

 明後日はオケ本番だというのに、練習をちょっと後回しにして、ドキドキしながら写しのTIFFファイルを開いてみた。
 画像は汚損もかすれもなく、とても鮮明だった。
 しかし……解読できない!
 手書きの筆記体なのだが、読めないところが多々ある。それもそのはず、よく見るとドイツ語の筆記体で英文を書いていたのであった。
 読めない理由は、もちろんそれだけではない。私の祖先の字が達筆?なのか雑なのかよく分からないが、クセがあって読めないのだ。ついでに取り寄せた他のビジネスパートナーたちの手紙は判読できるのだが。
 手紙の冒頭には、1868年1月4日と書かれている。つまり、神戸開港の3日後に書かれた手紙という事になる。当時は開港したばかりで、神戸港周辺には運上所と埠頭3箇所、倉庫が3棟しかなかったはず。一体、神戸のどこでこの手紙を書いたのだろうか。

 現在、米国の人とお互い夜中にメールを送り合いながら進めているプロジェクトは、結局は英国を中心に展開しつつある。本当はドイツの方で展開したかったのだが、ドイツは個人情報保護がとても厳しくて、諸々困難なのだそうだ。
 自力でできる事には限界があるけれど、協力してくれる人がいると心強い。そう言えば、以前問い合わせをしたD大学の人も快く協力してくれて、結局問題解決には至らなかったが、親身になってくれたので非常に感動した。一方、都内某R大は切り口上で、こちらの既読の文言をコピペしただけのメールが返ってきて終わった事を思い出す。
 大学によって独自のカラーがあるようだ。もちろん、担当者によるのかもしれないけど。

 151年前の手紙も、誰かに解読してもらう事になるのだろうか。Webには掲載できないので知恵袋には投稿できないし…ううむ。

2019.07.24 Wednesday

810年の歴史

 梅雨は明けないし、何をやっても壁にぶち当たった挙句、貴重な方には連絡が届かないまま亡くなられてしまうという、閉塞感に覆われた1ヵ月間だったが、今日は久々に進展があった。
 以前までは受け付けていなかった気がしたのだが、ケンブリッジ大学の図書館にあるマイクロフィルムの写しをオンラインで取り寄せる事が出来るというではないか。
 5年以上前、上記に重要なデータが収録されている事が判明した。しかし、マイクロフィルムの場合、必要な箇所がリールのどのコマにあるのか、特定が難しい。当時もメールで問い合わせたが、やはり実際に出向かなければならないという話になった。とは言え、なかなか英国にも行けないので、英国出張に立ち寄る人にお願いした事もあれば、フリーランサーの某サイト経由で英国在住の人に話をもちかけた事もあった。しかし、前者は時間と距離の都合で同大学には立ち寄れず、後者からは返信すら来なかった(そもそも何ヵ月もサイトにログインすらしていなかったようだが)。他にも英国に行く人はいたが、みんな忙しそうだったので遠慮していた。
 いつか自分で英国に行って調べようと思っていたが、今日何となくメールで問い合わせてみたら、リファレンスの方から非常にスピーディーで的確な返信が届いた。オンラインの注文サイトがあります、との事。しかも、短時間にマイクロフィルムのコマの該当箇所まで調べてくれていて、注文方法なども含め、必要な情報が簡潔なメールに全て網羅されていた。さすがケンブリッジ大学、810年の歴史!
 アーカイブのWebサイトもユーザーフレンドリーで、資料の権利関係も含めて必要な内容が整然と記載されていた。おかげですんなり注文できた。途中、操作に戸惑うことも全くなかった。某Faceb〇〇kとは大違い。

 Webサイトの内容があまりにも豊富なので、デジタルデータにも見入ってしまった。神戸居留地の写真もあり、感激。
   https://cudl.lib.cam.ac.uk/view/PH-Y-30377-C/72

 米国在住の方とも調査を進めているけれど、こちらはおそらく進展しなさそうなので、時差のため夜中にメールが届く日々もそのうち終わるだろう。しかしながら、日本国内の仕事のメールも夜中に届いたりする。日本人は働き過ぎ!?

20:00 | histoire | - | - | |
2019.07.23 Tuesday

長6度上昇旋律にはグリサンド

 弦が立て続けに切れて、予備弦が1本もない音も結構あったので、VanderbiltMusicに注文した。
 先日も書いたが、とくに最近は弾いている最中に切れることが多くビビッていたところ、切れまくっているのは、ミとソとシの弦ばかりではないか、
 いったいなぜなんだろう。ミソシ音だけ力を入れて弾いてしまっているのだろうか(そんなに器用ではない。)
 ホ長調のアルペジオをたくさん弾いた?(確かにホ長調とト長調のトニックコードのアルペジオはたくさん弾いた。)
 もしや、ミソシのメカニックに何かが起こっている?

 ソとミの弦を注文している時にふと思い出したが、ソ〜ミ〜♪というように、長6度の音程で上がる旋律が含まれる曲はこの世にたくさんあるらしい。確かに、美空ひばり「川の流れのように」、クリスタルキング「大都会」など、日本人の誰もが一度は耳にしたであろう有名な曲。曲を聴いていて、長6度上がると高揚感、というか、世界が広がっていくような感覚がするが、ポピュラー曲の場合はとくに、この上昇部分でよくハープの上昇グリサンドが効果的に添えられているような気がする。まあ、曲によって効果は様々で、たとえばショパンの有名なノクターン変ホ長調の冒頭とかに添えたら台無しだけど。

23:55 | Harpe | - | - | |
2019.07.19 Friday

Sleeping Beauty Op.66スコアとハープパート譜の違いなど

気づいたところだけ覚え書き。

2. Scène Dansante
31小節目、左手。スコアはレ音だけどハープパート譜はド音。

19. Entracte Symphonique (le Sommeil) et Scène
15小節目の左手。スコアもパート譜も冒頭にト音記号が書いてあるが、不要なのではないか。
18小節目の冒頭、パート譜には四分休符がない。スコアが正しい。

この曲、17小節目のラ音には♮が、18小節目のラ音には♭が付いている。
ところが、手書きのパート譜なので♭と♮の見分けが付きづらく、今日までどちらも♮だと思いこんでいた。
明日はリハだというのに、今さらながらペダル記号をあわてて書き換えた次第。

ここ数日、弾いている最中にBとEの弦が立て続けに切れた。この曲、BとEが頻出なのがよく分かる。

2019.07.05 Friday

夜クラシックVol.21

 吉野直子氏のハープと、上野星矢氏のフルートのデュオコンサート。
 ハープを使うデュオ曲で誰もが知る名曲の数々を、これでもか〜!というほどたくさん聴ける機会は、それほど多くないように思う。
 開演の時刻、ホールの照明が全て落とされた。ほとんど真っ暗な状態で、二人がステージの定位置につく。そのあとすぐ1曲目の演奏が始まった。 つまり、最初の拍手はなし。何かの意図があったんだろうか。

・Clair de Lune (Claude Achille Debussy)
 聴きに行く前は、果たしてベルガマスク組曲の方なのか、それとも歌曲なのかを知らなかったので、少しわくわくした。
 結局、演奏されたのはベルガマスク組曲の方だった。この「夜クラシック」のテーマ曲らしい。
 この「月の光」、当初の曲名は「感傷的な散歩道」だったそうだが、もしそのまま曲名が変わっていなければここまで有名な曲たりえただろうか。うーむ。でも、やはり曲名によらず有名になっていただろうな。
 ピアノやハープのソロも良いけど、フルートとのデュオも名曲。

・Clair de Lune (Gabriel Urbain Fauré)
 こちらも前の曲と同様、ヴェルレーヌの詩に関わる曲。フォーレらしい、夢みるような旋律。

・Sicilienne (Gabriel Urbain Fauré)
 どのくらいのテンポで弾くのだろうかと思っていたら、オーケストラでよくあるテンポだった。
 つくづく、良い曲だなあ。
 ペダルが結構面倒な曲なので、ペダルワークをよーく見たかったけれど、今回のホールはステージが高いところにあり、私の席からだとかろうじてDのペダルが見えるにとどまった。

・Vocalise - étude en forme de habanera(Joseph-Maurice Ravel)
 暑く気怠い雰囲気の曲。フルートのトリルの後とか、間の取り方が洒脱。フルートとハープが低音に移ったあとの切り替えがまた良い。

・Sonate pour flûte et harpe(Jean-Michel Damase)
 圧巻の全楽章。ハープの音数もすごいし、ペダルで死ぬ曲なのに。とくに、フルートの音数がとても少ない部分で、ハープの速いアルペジオが続く部分など、それはそれは大変だろうけど、ぴったり合っていた。
 楽章間の拍手…気持ちはすごく分かる。それくらい圧倒されてしまう。

・Syrinx(Claude Achille Debussy)
 フルート独奏。水辺で葦笛を吹く、神話の光景が目に浮かぶよう。

・12 Fantasias for Flute without Bas 〜 No.10 & 12(Georg Philipp Telemann)
 フルート独奏。この曲だけドイツの作曲家、時代も古い。フルートのことはよく分からないけれど、何やらごまかしがきかなさそうな曲…しかし、拍手がとても大きかった。

・Féerie : Prélude et danse (Marcel Lucien Tournier)
 ハープ独奏。吉野さん、この曲だけは楽譜なしで弾いていらした。合奏の曲だけ楽譜をかなり緻密に見ながら演奏されているのは、打ち合わせた内容などが細かく記載されているのだろうか。
 トゥルニエの師匠・アッセルマンが亡くなった1912年に作曲されたこの曲、初めて聴いたけど、とても美しい。
 音の粒のきらめきが、人が楽器を演奏して鳴らしている音というよりは、まるで自然に存在している粒子が空を舞っているかのよう。

・Beau soir (Claude Achille Debussy)
 原曲はポール・ブルジェの詩による歌曲。オトナの曲〜なぜか、高級ワインの入ったグラスごしに美しい満月が見える、というシーンが目に浮かんできてしまう。

・Nuits d'étoiles(Claude Achille Debussy)
 原曲はテオドール・ド・バンヴィル(1823-1891)の詩による歌曲。
 和音がとても多くて、それが星の瞬きを思わせるのだけど、和音って弾きにくくてきれいに響かせるのは難しいんだよなあ…。

・Carmen 〜seguidilla, Intermezzo, Habanera (Georges Bizet)
 オケなどで有名な曲。間奏曲以外、デュオ版は初めて聴いた。レパートリーとして持っておくと便利そう(当然、誰もが知っている曲なので間違えたら目立ち過ぎてしまうけれど)。

 今回の曲目は、フルートソロのテレマンを除いては、オール・フランス作品。つまり、ハープの足元がとても忙しいはずなのだけど、ペダルの音が聞こえてこない、ただそれだけでもどれだけすごい事か。やはり、王者の貫禄!
 吉野さんのすごいところは他にもあって、曲間に軽くチューニングする際、チューニングハンマーを取り付ける時に楽器の右側面を見ずにできる事だ。毎回驚かされる。

 休憩時間中、ステージ上の楽器を見ようという人が10人ほど前方に集まってきて、一人が撮影を始めた。すると他の人もつられて撮影しようとして、すぐさまホールスタッフの人が静止していた。それでも、後からまた人が見に来るので、スタッフの人はステージ前にずっと貼りついていらした。(私も実は撮りたかった。)
 フルートとハープの組み合わせだと、サロンコンサートや小ホールというパターンが多そうだけど、今回は大ホールだった。超人気のお二人なので、小さい箱だとお客さんが入りきれないだろう。私は前から6列目で聴いていたが、とても響きが良かった。こんな満席に近い状態の大ホールで、最後列だとどのように聴こえていたのだろう。
 ■
 昔、ピアノの発表会、オーケストラのハープ、フルートとハープのデュオ、ヴァイオリンのピアノ伴奏…などで弾いた事がある思い出の曲ばかりだったので、客席から名演を聴きながらとても懐かしくなった。一緒に弾いたあの人や、聴きにきてくれたあの人は、もうこの世にいないのだと思うとちょっと寂しいけど。
 いつ聴きに行っても、ほほ〜んと心地よくなるハープの安定感と、表情豊かなフルート。誰かが「細胞が癒される〜」と言っていたが、完全に同意。また聴きに行きたい。
 隣の席に、ピアノをされているという方と、フルートをされているという娘さんがいらして、少し会話した。フルートをやっているのかと聞かれ、ハープをやっていると話すと驚かれ、いろいろ質問を受けた。お母さんのピアノ伴奏で娘さんがフルートを弾く。そんなご家庭なのだろう。いいなあ。

21:30 | le concert | - | - | |
2019.06.23 Sunday

片手ずつか両手か

 左肘の手術後、3日間練習をサボってしまった(1日目は患部を固定していたため。それ以降は、傷口が痛んだとかではなく単なるサボり)。3日後からは全く問題なく練習できている。当日の夜は少々寒くて多少傷口も痛かったが、結局は痛み止めも飲まなかった。
 左手がつらければ、治るまで右手と両足だけの練習をしようと考えていたが、杞憂に終わった。

 ピアノやスポーツでも時おり話題になる「片手で完璧に弾けるようになるまで練習したあとで両手で弾く練習をする」のと、「ある程度譜読みできたら、早めに両手での練習を開始する」のはどちらが早く弾けるようになるか、という問い。2006年10月に発表された「運動習得は片腕と両腕では大違い ?片腕運動と両腕運動では異なった脳内過程が運動学習に用いられることを解明?」という研究発表によると、「一見同じようにみえる片腕運動時と両腕運動時の右腕もしくは左腕の運動が、行動レベルで本質に異なっている」「運動学習の観点からすると、片腕だけで動かすか、両腕を一緒に動かすかで、同じ腕が一部異なった人格を持つかのように振る舞う」とある。
 以前テレビ番組でも検証されていたが、ピアノ演奏に関しては、両手での練習の方が早く弾けるようになっていた。自分自身を振り返っても、譜読みが難しい曲の着手時は片手で練習することもあるものの、結局は最初から両手で弾いたほうが早かった。いくら片手で完璧に弾けても、両手だと頭の中で曲と動作が結びつかないのである。
 また、ペダル操作に関しては、右足だけ、左足だけの練習などはボケた自分の頭には非常に難しい…というか、別の意味で頭の体操、ボケ防止にはなっているのかもしれない。右手と左足だけ、とか、左手左足だけ、といった練習は、老後の更なるボケ防止のために取っておきたい。

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