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2014.04.17 Thursday

ダムに沈んだ村 その2

2009年の暮れに書いた、ダムに沈んだ村 http://blog.harp.tv/?eid=1155867 の詳細。

かつて、家からそう遠くない場所に、神秘的な静寂の世界があった。
冬から春にかけては梅の花が美しく、初夏にはホタルが舞い、いつ行ってみても誰ひとり人とすれ違うこともなく、聞こえるのは竹林のそよぐ音だけ…というその場所は、左右を山に挟まれ、その間を縫うように一本の道が通っていた。山肌には時おり防空壕の跡も見られ、時代から取り残された感があったが、ごく少ないながらも道沿いに数軒の民家も見られた。

たまたまある日そこに迷い込んでその場所を知ったのが契機となり、その日からすっかり魅了され、時には友人を連れて散策したりもした。友人もその静寂の世界に驚いていたのを記憶している。

それからほどなくして、その村落一帯はダムに沈んでしまった。
2009年暮れ、久々に見に行くと、あまりにも様相が変わってしまっており、かつて自分が歩いた道がどのあたりにあったのかもさっぱり分からない状況だった。

さらに4年余り経過した先日、ちょっと興味が湧いてきたので、かつてのその村落がどう変貌を遂げたのかを調べてみた。
地図に色を塗るなんて何年ぶりだろうか。

【Before】1984年頃の様子
1984年頃の長谷

【After】2013年の様子
2013年の長谷

こうして比較してみると、一目瞭然だった。
かつて歩いた道も、ひっそりと佇んでいた民家も、すっかり水に沈んでしまっていた。
今ではダムを取り囲むように車道やトンネルがうねっている。

前回の記事を書いた時は、Debussyの「水の反映」を思い起こしていたが、今回は「沈める寺」を思い出した。
かつて、イスという街があったが、ある日、神の不興を買い一瞬のうちに街がまるごと海の底に沈められてしまう。
ある晴れた日、海の底に沈んだイスの街が波間から浮かび上がり、教会の鐘が鳴り、僧侶たちの合唱が聞こえ、やがて再び海の底へ消えていく…というケルトの伝説に基づいたピアノ曲である。
(「沈める寺」は和音の響きがとても神秘的で、ハープで演奏しても良さそう…音の響きを消さないで済むよう、複数台のハープで演奏するのも効果的だと思う。やってみないと何とも言えないけれど。)

ダムに沈んだ現代の街(村)は、ちょっと人工的すぎていて「沈める寺」の世界とはイメージが全然合わない。
ただただ、あの場所が本当に水の底に沈んでしまったんだなあという寂しさが残るばかりである。

23:50 | Fukuoka | - | - | |

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