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2017.12.14 Thursday

追想

オーケストラの楽曲は、曲や楽章の冒頭からハープとコントラバスが同時にスタートするものも多くある。編成にもよるが多くの場合、ハープは舞台下手、コントラバスは上手でそれぞれ向かい合う形に位置しており、それらをつなぐ直線の真ん中より客席側に指揮者がいる。

指揮者の棒の振り方には当然の事ながら個性がある。殆どのオケにおいてコンサートのゲネプロと本番だけ参加する自分は、指揮者との初対面も本番前夜。鈍臭い自分は指揮者の振り方によってはタイミングがなかなか掴めない事があり、第1音を秘かにコントラバスに合わせるように入れたりしていることも、実は、結構ある。

例によって、先週末本番だったオケの首席コントラバス奏者の方にも、これまで実は秘かにずいぶん頼ってきた。おまけに、彼の演奏は非常にユーモラスでとても楽しそう。見ているだけで、こちらの緊張感や悲壮感を忘れてしまうほどだった。客席から演奏を見ても、自分だけでなく周囲の観客も明らかに顔がニヤけているのが分かる。これほどユーモラスな奏者も珍しい。

思えば、ハープを運ぶ際にも随分お世話になった。ハープを家から会場まで往復させる際、運送業者さんに頼むと数万円かかる。当然、彼の車で運んでもらった時は、何度もお礼を渡そうとした。しかし決して受け取ってはくれなかった。
ところが、家で飲んで下さいと言って焼酎を渡すと、喜んで受け取ってくれた。

往復の車中ではいろんな話をした。と言うか、実に刺激を受けるような話をたくさん教えてもらった。バレエコンサートの話からは、チャイコフスキーのくるみ割り人形、花のワルツの話となった。あるプロ楽団のハープ弾きは、指揮者にカデンツァを数種類聴かせ、本番はどれが良いか問うたという。当時若かった自分は、いつかそんな芸当が出来るようなハープ弾きになりたいと思った。(その後、年齢は増えたが、カデンツァのヴァリエーションは1のまま。)

本番だからと言って、気分が高揚して練習の時と違うことをやろうとするとロクなことがない、という話でも大いに盛り上がった。
演奏に限らず、試験でもスポーツでもやってしまいがちだ。そして、何かやらかすのだ。


神様は、この上なく優しくて、しかもまだ若い人を突然天に召すのがお好きなようだ。
神も仏もあったもんじゃない。

ステージで彼の姿を見ることは、もう、ない。
ゲネプロ、本番の日。ステージ上には一つの空席。

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