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2019.07.05 Friday

夜クラシックVol.21

 吉野直子氏のハープと、上野星矢氏のフルートのデュオコンサート。
 ハープを使うデュオ曲で誰もが知る名曲の数々を、これでもか〜!というほどたくさん聴ける機会は、それほど多くないように思う。
 開演の時刻、ホールの照明が全て落とされた。ほとんど真っ暗な状態で、二人がステージの定位置につく。そのあとすぐ1曲目の演奏が始まった。 つまり、最初の拍手はなし。何かの意図があったんだろうか。

・Clair de Lune (Claude Achille Debussy)
 聴きに行く前は、果たしてベルガマスク組曲の方なのか、それとも歌曲なのかを知らなかったので、少しわくわくした。
 結局、演奏されたのはベルガマスク組曲の方だった。この「夜クラシック」のテーマ曲らしい。
 この「月の光」、当初の曲名は「感傷的な散歩道」だったそうだが、もしそのまま曲名が変わっていなければここまで有名な曲たりえただろうか。うーむ。でも、やはり曲名によらず有名になっていただろうな。
 ピアノやハープのソロも良いけど、フルートとのデュオも名曲。

・Clair de Lune (Gabriel Urbain Fauré)
 こちらも前の曲と同様、ヴェルレーヌの詩に関わる曲。フォーレらしい、夢みるような旋律。

・Sicilienne (Gabriel Urbain Fauré)
 どのくらいのテンポで弾くのだろうかと思っていたら、オーケストラでよくあるテンポだった。
 つくづく、良い曲だなあ。
 ペダルが結構面倒な曲なので、ペダルワークをよーく見たかったけれど、今回のホールはステージが高いところにあり、私の席からだとかろうじてDのペダルが見えるにとどまった。

・Vocalise - étude en forme de habanera(Joseph-Maurice Ravel)
 暑く気怠い雰囲気の曲。フルートのトリルの後とか、間の取り方が洒脱。フルートとハープが低音に移ったあとの切り替えがまた良い。

・Sonate pour flûte et harpe(Jean-Michel Damase)
 圧巻の全楽章。ハープの音数もすごいし、ペダルで死ぬ曲なのに。とくに、フルートの音数がとても少ない部分で、ハープの速いアルペジオが続く部分など、それはそれは大変だろうけど、ぴったり合っていた。
 楽章間の拍手…気持ちはすごく分かる。それくらい圧倒されてしまう。

・Syrinx(Claude Achille Debussy)
 フルート独奏。水辺で葦笛を吹く、神話の光景が目に浮かぶよう。

・12 Fantasias for Flute without Bas 〜 No.10 & 12(Georg Philipp Telemann)
 フルート独奏。この曲だけドイツの作曲家、時代も古い。フルートのことはよく分からないけれど、何やらごまかしがきかなさそうな曲…しかし、拍手がとても大きかった。

・Féerie : Prélude et danse (Marcel Lucien Tournier)
 ハープ独奏。吉野さん、この曲だけは楽譜なしで弾いていらした。合奏の曲だけ楽譜をかなり緻密に見ながら演奏されているのは、打ち合わせた内容などが細かく記載されているのだろうか。
 トゥルニエの師匠・アッセルマンが亡くなった1912年に作曲されたこの曲、初めて聴いたけど、とても美しい。
 音の粒のきらめきが、人が楽器を演奏して鳴らしている音というよりは、まるで自然に存在している粒子が空を舞っているかのよう。

・Beau soir (Claude Achille Debussy)
 原曲はポール・ブルジェの詩による歌曲。オトナの曲〜なぜか、高級ワインの入ったグラスごしに美しい満月が見える、というシーンが目に浮かんできてしまう。

・Nuits d'étoiles(Claude Achille Debussy)
 原曲はテオドール・ド・バンヴィル(1823-1891)の詩による歌曲。
 和音がとても多くて、それが星の瞬きを思わせるのだけど、和音って弾きにくくてきれいに響かせるのは難しいんだよなあ…。

・Carmen 〜seguidilla, Intermezzo, Habanera (Georges Bizet)
 オケなどで有名な曲。間奏曲以外、デュオ版は初めて聴いた。レパートリーとして持っておくと便利そう(当然、誰もが知っている曲なので間違えたら目立ち過ぎてしまうけれど)。

 今回の曲目は、フルートソロのテレマンを除いては、オール・フランス作品。つまり、ハープの足元がとても忙しいはずなのだけど、ペダルの音が聞こえてこない、ただそれだけでもどれだけすごい事か。やはり、王者の貫禄!
 吉野さんのすごいところは他にもあって、曲間に軽くチューニングする際、チューニングハンマーを取り付ける時に楽器の右側面を見ずにできる事だ。毎回驚かされる。

 休憩時間中、ステージ上の楽器を見ようという人が10人ほど前方に集まってきて、一人が撮影を始めた。すると他の人もつられて撮影しようとして、すぐさまホールスタッフの人が静止していた。それでも、後からまた人が見に来るので、スタッフの人はステージ前にずっと貼りついていらした。(私も実は撮りたかった。)
 フルートとハープの組み合わせだと、サロンコンサートや小ホールというパターンが多そうだけど、今回は大ホールだった。超人気のお二人なので、小さい箱だとお客さんが入りきれないだろう。私は前から6列目で聴いていたが、とても響きが良かった。こんな満席に近い状態の大ホールで、最後列だとどのように聴こえていたのだろう。
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 昔、ピアノの発表会、オーケストラのハープ、フルートとハープのデュオ、ヴァイオリンのピアノ伴奏…などで弾いた事がある思い出の曲ばかりだったので、客席から名演を聴きながらとても懐かしくなった。一緒に弾いたあの人や、聴きにきてくれたあの人は、もうこの世にいないのだと思うとちょっと寂しいけど。
 いつ聴きに行っても、ほほ〜んと心地よくなるハープの安定感と、表情豊かなフルート。誰かが「細胞が癒される〜」と言っていたが、完全に同意。また聴きに行きたい。
 隣の席に、ピアノをされているという方と、フルートをされているという娘さんがいらして、少し会話した。フルートをやっているのかと聞かれ、ハープをやっていると話すと驚かれ、いろいろ質問を受けた。お母さんのピアノ伴奏で娘さんがフルートを弾く。そんなご家庭なのだろう。いいなあ。

21:30 | le concert | - | - | |

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